不動産の相続が変わる?土地の「相続登記」が義務化する見通し
2021年現在、不動産を相続した際の「登記」は義務ではありません。
相続登記とは、簡単にいえば亡くなった方から相続した方に名義を変更する手続きのことです。
今、この相続登記を「3年以内」にしなければ10万円以下の過料となる法案が答申されています。
相続登記が義務化される背景
現在でも、相続した不動産を売却したり、活用したりする際には相続登記が必須です。ただ、所有しているだけでは登記する義務がなく、登記しないことに対する罰則もありません。
そのため、「未登記」の所有者不明の土地が増え、空き家問題がなかなか解決しない一因にもなっています。中には、何世代も登記されておらず、2代上、3代上の人が登記上の所有者となっていることも。そうなってくると、「今」の相続人が誰なのかを特定することがさらに難しくなり、自治体もまったく介入できない状態になってしまうのです。
法務省によれば、所有者不明の土地が発生する理由の約66%が、相続登記がされていないことにあるといいます。このことに鑑み、相続登記を義務化する動きが加速しているわけです。
法改正によって変わる不動産相続
以下、主な改正案をまとめます。
いまだ法改正案の答申をしている段階ですが、今国会で可決すれば2023年度にも施行される見通しです。
1.相続登記の義務化
現在、相続登記は義務ではありません。この点が、相続による取得を知ってから「3年以内」に登記申請をしなければ、10万円以下の過料が科されるようになります。
2.遺産分割に期限を
相続するうえでは、相続人の間で「分割」についてもめることも少なくありません。遺産分割協議が進まないこともまた、相続登記ができない要因の一つだということです。
改正後には、10年間、遺産配分が未定であれば「法定割合」で分割されたものとみなされます。法定割合とは、法律で定められた遺産の配分率のことです。
3.土地の所有権を放棄しやすく
現在、相続放棄をするとなると全ての相続資産を放棄しなければなりません。つまり、「全て相続」「全て相続放棄」の二択しかないということ。改正案が可決されれば、全ての資産を相続したうえで土地のみ国庫に返納できる制度が設けられます。
4.相続不動産の活用や売却が簡易に
基本的に、不動産は共有者の同意がなければ、活用や売却ができません。しかし相続不動産については、共有者の過半数の同意で短期の賃貸借ができ、裁判所の許可で管理人を選べば売却もできるようになります。
今、相続人がすべきこと
相続登記の義務化は、2023年とまだ少し先という見通しです。
しかし、相続登記が義務となり、相続した不動産の売却や活用もしやすくなると、今後、流通する相続不動産が増えてくる可能性もあります。そうなれば、不動産の価値に影響が出る可能性も否めません。
それに伴い、今、相続人がすべきことは、相続不動産をどうするか決めること。空き家になっている不動産もおありのことと思います。売却するのか、賃貸に出すのか……決断を先延ばしにしている方は、不動産の価値を把握し、ご家族・共有者で話し合われる機会を持たれてみてはいかがでしょうか?
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